おはようからおやすみを笑顔で。
などと考えていると、後ろから「沙耶」と名前を呼ばれ、振り向く。
声を掛けてくれたのはマイちゃんだった。


「マイちゃん! 久し振りー!」

「うん、久し振りー。といっても三ヶ月ぶりくらい? ねぇ、一緒に座ろうよ」

マイちゃんに引っ張られるようにして、一番奥の空いてる座布団に腰掛けた。
ちら、と視線を向ければ、斉野くんは入口のところでまだ凛花ちゃんに捕まっていたけれど、やがて入口付近の席に、凛花ちゃんと並んで座った。
席、かなり離れてしまった。まあ、付き合ってることはまだ周りには内緒にしておきたいし、別にいいんだけど……。

でも、お酒を飲んでいてもマイちゃんと話していても、ついつい斉野くんの方を見てしまう。
凛花ちゃんはいつまでも斉野くんにぴったりだ。
斉野くんだって、基本はいつものクール顔だけれど、時折楽しそうに笑う。
あんな風に無邪気に笑う姿、私の前では見せたことないのに……。


「木本って、ほんとに祐と付き合ってないの?」

ふと飛んできた質問により、ハッと我にかえる。
突然そんなことを聞いてきたのは、いつのまにか隣の席に来ていた神代くんだ。


「つ、付き合ってないよっ」

危うく声が裏返りそうになったのをなんとか堪えた。

神代くんの質問は、きっと深い意味なんてなく、さっき私と斉野くんが同じタイミングでやって来たことをいじってきているだけ……と思ったのだけれど。


「えー、私も実は付き合ってるのかと思った」

と、マイちゃんにも言われてしまう。
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