おはようからおやすみを笑顔で。
「だよなー! 絶対そうだと思ったんだけど違うのかあ」

「多分、私たちだけじゃなくて、あの場にいた半数がそう思ったよね」

うんうん、と何度も頷きながらそんな会話をするマイちゃんと神代くんの会話に、いまいちついていけない。


「ちょ、ちょっと待って。一緒に店に入ってきただけなのに、なんでそんなこと思うの?」

二人の間に割り込んでそう質問すると、二人は同時に私に振り向いてくすくす笑う。


「ごめんごめん、冗談だよ。昔、斉野くんが沙耶のことを好きだったのは明らかだったから、つい」


……へ?


斉野くんが私のことを好きだったのが……明らか?


「まあ、子どもの頃って好きな女の子だけいじめちゃうしなあ」

「うんうん。わかりやすいのは斉野くんに限ったことじゃないけどーーって沙耶? どうしたの、ぽかんとして」

「えっ……」

どうしたの、と言われても、この問いになんて返したらいいかわからない。


「まさか沙耶、気付いてなかったの?」

「えっ、いやその……」

当時の斉野くんの気持ちは現在知っているものの、それはつい最近のこと。意地悪をされていた頃の私はそんなこと全く気付いていなかったから「うん」と答えた。


「て、ていうか私、斉野くんにいじめられてることマイちゃんにたくさん相談してたじゃない! 斉野くんの気持ち知ってたなら私に教えてくれても良かったのに!」

「言ったよ。斉野くんは沙耶のことが好きだからいじめちゃうんだと思うよ、って。そうしたら沙耶が『好きな人に意地悪する人なんているわけない!』って言ったんじゃん」
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