戦乱恋譚
戸惑う彼に、私は尋ねた。
「何か、折れるような紙はありますか?」
「!はい。…顕現用の和紙なら…」
彼から手渡されたのは、金箔の入った白い和紙だ。見るからに高級そうな紙に、丁寧に折り目をつけていく。
…すっ。
角をしっかり合わせ、指先に神経を集中させる。伊織さんは、ただ、じっと目を逸らさずに私の手元を見つめていた。
ただの平面の紙だったものが、どんどん折り込まれて立体になっていく。
「…っ、はい!できました!」
「!!」
私の手の中に現れたのは、三角の頭に平行の羽を広げた“鶴”だった。目を見開いた伊織さんは、ぱっ!とそれを手にとって感嘆の声を上げる。
「…!顕現録の通りだ…!華さん、どうしてこれを…?」
子どものように目を輝かせる彼に、私は苦笑した。
「実は私、元の世界で小さな診療所に勤めていたんですが、病気や怪我でくる子どもやお年寄りの方に、折り紙をあげたり一緒に作ったりすることがあって…。まぁ、軽い趣味みたいなものです。」
「す、すごいです、華さん!あなたは陽派の救世主だ!」
「そ、そんな大したものでは…」
地味な特技に、こんなに感動してくれるなんて。
…と、伊織さんが宝石を見つめるような瞳で折り鶴を見つめるものだから、急に恥ずかしくなって俯いた
次の瞬間だった。