戦乱恋譚
ブワッ!
綾人が、懐から取り出した和紙に霊力を込めた。意思を持ったかのように動き出す“式神”。信じられない光景に息を呑む。
放たれた敵は、一直線に私へ襲いかかった。
「華さん!」
伊織さんが、血相を変えた。すぐさま私の元へ走り、式神を斬り倒す。
紙切れと化し、風に飛ばされる式神。命の危機に心臓が止まるかと思った瞬間。伊織さんの隙をついた綾人が、碧瞳を輝かせた。
パァン!
複雑な術がかけられた陣が、伊織さんの足元に広がっていく。
何が起こっているんだ?それさえも分からない。
囚われた彼の体が、どくん!と脈打った。苦痛に顔を歪める彼。
あまりにも現実離れしすぎているその光景に、ぞくり、と震えると、彼の白銅の瞳がどんどん輝きを失っていっていることに気がついた。
(まさか、伊織さんの霊力を吸い取っているの…?!)
彼は、がくん、と倒れこむ。あの陣の中に居続ければ、おそらく命はない。
「やめてーっ!!!」
綾人が陣に力を込めた瞬間、無意識に体が動いていた。
ドン!と伊織さんを突き飛ばす私の腕。陣に足を踏み入れた瞬間、邪魔者を排除しようとする力が、バチッ!と閃光を放つ。
ゴォォォッ!!
「「「!!!」」」