戦乱恋譚
突風が吹き荒れたと思ったその時。私の中に今まで感じたこともない熱が流れ込んできた。
光に包まれ、拍動する私の体。温かで強い力が湧き上がってくるようだ。
(こ、これは…?!)
パァン!
足元の陣が弾け飛んだ。
力が抜け、つい、地面にドサ!と倒れこむ。とっさに抱きとめた伊織さんが、私を見つめて短く息を吐いた。
「…華、さん…?」
明らかに、先程までと自らが違う。体に宿る淡い光に、伊織さんも動揺しているようだ。
「…伊織の霊力を、奪っただと…?」
綾人の声が森に響いた。陣に踏み入った私でさえ、状況が掴めない。
ガシャ!ガシャ!ガシャ!
(!)
その時、月派の式神の目が、ギョロリ、と私をとらえた。私の中に宿る陽派当主の霊力に刺激されたらしい。
槍や刀の切っ先が、まっすぐ私に向けられた。はっ、と息を呑むと、私を抱きとめる伊織さんが素早く告げる。
「華さん、迷っている暇はない!折り神を顕現させましょう。」
「えっ!」
「貴方がさっき折った“鶴”です!俺の力が宿った華さんの言葉になら、きっと答えてくれます!」