戦乱恋譚
余裕のなくなった伊織が、再びキスを落とした。お互いの気持ちが通じ合った触れ合いは、離れでのそれとはまるで違った。
額、まぶた、頰、と、ついばまれる。優しく触れていたキスも、唇に触れるごとに深くなった。
ゆっくりと絡められた舌に、ぞくり、と甘い痺れが走る。
ベットに移動し、明かりが消された。月だけが私たちを見ている。身じろぎをするたびに擦れて聞こえるシーツの音。伊織の熱い吐息が首元にかかり、意識が飛びそうになった。
「…ん…っ、…ぁ…っ」
肌を滑る伊織の指。漏れてしまう声が恥ずかしい。我慢しようとしても、抑えきれない。
「……もっと…」
ぼそり、と低い声が聞こえ、噛みつくようなキスが落とされた。お互い、だんだん余裕がなくなる。
…伊織の扱いは、今まで経験してきたものよりも、ずっと優しくて気持ちいい。お互い、募った想いが溢れた夜は、どんな時間よりも幸せに感じた。
…こうして、距離を全て無くした私たちは、夜が明けるまでお互いの熱を求め合った。