戦乱恋譚


ガラッ!!


突然、小屋の扉が開いて、黄金の髪の少年が、ぱっ!とこちらを見た。私と目があった瞬間、橙の瞳が大きく見開かれる。


『!!姫さまっ!おかえりなさいっ!!!』


駆け寄った瞬間、ぎゅう!と抱きついたのは虎太くんだ。ぞろぞろと扉の向こうに人影が見える。


『お、なんだ!姫さんも戻って来たのか?!』


『…こちらの世界を選ぶとは。やはり俺が恋しくなったのだろう?姫。』


千鶴と花一匁が、それぞれ顔を覗かせた。懐かしい顔ぶれに、つい、泣きそうになる。

その時、咲夜さんと銀次さんが伊織に駆け寄るのが見えた。


「伊織様!お体は大丈夫なのですか!」


「ほぉ…!これは!顔色も良くなったようですな、伊織殿。」


当主の帰還を待ち望んでいたような彼ら。話によれば、暇を取らせていた使用人達も、伊織の帰りを待っているようだ。

私たちは、彼らに連れられて、小屋の外へ一歩踏み出す。すると、森の前で私たちを出迎えたのは、碧眼の輝きを取り戻した綾人だった。


「…久しいな。また会えてよかった。」


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