戦乱恋譚
(“遼太郎”…?)
その名を聞き、伊織さんの表情が曇る。きょとん、とする千鶴に、伊織さんは静かに答えた。
「…父は、他界した。」
『!』
「月派の襲撃を受けて…、そのまま…」
千鶴の深紅の瞳が光を失う。
シャラ…、と彼の折り鶴のピアスが音を立てた。
『そうか……』
神にも、主従関係で芽生えた“絆”のようなものがあるらしい。寂しげにかつての主を想うその姿は、まるで飼い主に置いていかれてしまった犬のようだ。
…と、その時。
ふっ、と、千鶴が私へ視線を向ける。
『…で?あんたが俺の依り代を折ったのか?神城の血は流れてないみてぇだが…』
「!私は、藤堂 華です。訳あってこの世界に来た、折り紙が趣味の一般人で……」
すると、『あぁ。なるほど。』と、どこか納得したようにポン!と手を合わせた千鶴は、とんでもない爆弾発言をした。
『あんた、伊織の嫁か!』
「ち、違います!!」