戦乱恋譚
…と、私がつい大声で反論した
その時だった。
「!やっと見つけましたよ、伊織様!」
「「『!』」」
茂みをかき分け現れたのは、伊織さんよりも歳上の男性だった。ひどく疲弊している様子の彼は、着物の所々に血の染みがあるものの怪我はないようだ。
どうやら、相当の手練れらしい。
「!咲夜(さくや)…!」
伊織さんが彼の名を口にした。せかせかと近寄ってきた彼は、ため息をつきながら言葉を続ける。
「まったく…!伊織様!神城家を背負う当主なのですから、単独行動は控えてくださいとあれほど言ったじゃありませんか…」
と、その時。月明かりの中、主人を見た彼の声が、ピタリと止まった。
それもそのはずだ。見ず知らずの女を抱きしめ座り込む当主と、白銀の髪のやけに目立つ神様が目に入ったのだから。
「伊織さま。…これは一体、どういう状況で?」
一気に顔が険しくなった彼は、低く唸る。
彼に目をつけられ、とっさに伊織さんを突き飛ばす私。ぐはっ、という背後から聞こえたうめき声は、さらりと流した。
「あ、あの、これには深い事情があって!私は別に怪しいものでは…っ!!」