戦乱恋譚

すると、あっけらかんとした伊織さんは、にこやかに男性に答えた。


「じゃあ、華さんを神城の屋敷に引き取ればいい。」


(え!)


「事故とはいえ、彼女を巻き込んでしまった原因は俺にある。月派の襲撃があっても、彼女が俺の側にいれば何の問題もないだろうし。」


何を言いだすんだ、この人は。住む場所に悩まなくて済む、と単純に喜んでいい話ではない。当主の発言に、男性も開いた口が塞がらないようだ。伊織さんは、そんな彼に追い討ちをかける。


「それに、華さんは月派に奪われた顕現録のページに書かれた依り代の折り方を知っているんだ。彼女がいなければ、折り神は顕現できない。…これだけでも、彼女を囲う立派な理由だろ?」


まさか、私の折り紙技術が、こんなところで役に立つとは。すると、それを聞いた千鶴も、にやりと笑って伊織さんに合わせた。


『…ってことは、伊織に霊力が戻るまで、俺の主は華ってことだな?』


「えっ!」


『陽派の当主といえど、霊力のない伊織は少し武術ができるだけのただの男だ。…俺を呼び出したのはあんただろ?俺は、姫さんの命しか聞かないぜ。』


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