戦乱恋譚
キィン!
伊織に振り下ろされた刀が、光の壁ではじき返された。突然のことに、はっ!とする私。
すると、窮地に立たされた私と伊織の前に現れたのは、黄金の髪の少年だった。
『お怪我はありませんか!姫さまっ!』
「っ!虎太くん…っ!」
彼の名を呼んだ瞬間、光の壁に弾かれ動揺していた佐助が、ドッ!と“白い折り神”に蹴り飛ばされる。
(っ!)
流れるような動作に息をのむと、タン!と舞い降りた彼は、怒ったように私を見下ろして叫んだ。
『ばぁか!早く俺の名を呼べ!』
「千鶴…!!」
駆けつけた二人の折り神に、ほっ、と表情を緩める伊織。すっ、と私を地面に下ろした彼は、気を抜かずに敵を見据える。
その時、吹っ飛ばされた佐助を抱きとめた綾人は、眉間に深いシワを寄せ呟いた。
「っ、くそ!折り神が二体だと…?!」
焦りをにじませる綾人に、佐助も戸惑いを隠せないようだ。一気に形成逆転され、余裕がなくなったらしい。
(このまま、追い返せるかもしれない…!)
期待が高まり、千鶴と虎太くんが攻撃に構えた
その時だった。
「…何をしている。この役立たずが…!」
「「「!!」」」
境内に、低く冷たい声が響いた。はっ!として鳥居の方へ視線を移すと、漆黒の羽織を着た男性が、ギロリと鋭い視線で綾人を睨んでいた。
(!誰…?!)