戦乱恋譚
ドドドドドッ!!!
容赦なく降り注ぐ矢の雨。土煙が上がり、その場は地獄と化した。勝利を確信したように、十二代目がニヤリと笑う。
伊織が、言葉も出せずにその光景に打ち震えた。カラン…、と手に持っていた槍が地面に落ちる。
「…佐、助…」
ぽつり、と呟いた綾人が、がくん!とその場に膝から崩れ落ちた
…その時だった。
パァァァッ!
「「?!」」
境内に溢れる黄金の光。伊織と綾人は、はっ!と矢の降り注いだ地点を見つめる。
ぎゅ…、と佐助を抱きしめていた私も、痛みの感覚がないことに違和感を覚え、ふっ、と顔を上げた。
…すると、目の前に見えたのは、大輪の“菊”が描かれた雅な着物。紺色の髪が、さらさらと風になびく。
私を庇うように立つその背中は華奢だが、すっ、とこちらを向いた姿は、色気を帯びた凛々しい“青年”だった。
『…なぜ、その折り神を守った?』
「え…?」
『…そやつはお主の敵だろう。』
狐のように細い瞳の彼に尋ねられ、はっ、とする私。佐助を庇ったのは、完全に無意識だった。