戦乱恋譚

なんの話だ?

私がいたのは、陰陽師など見たこともない時代だったはずだ。


「あの…ここは、一体どこなんですか?」


混乱する中尋ねると、青年が静かに口を開いた。


「?ここは“宵の国”ですが?」


「宵の国?!!」


思考回路が停止した。

聞いたこともない国名だ。ここは日本じゃないのか。ジャパンはどこへ?!


「あの、映画の撮影か何かですか?陰陽師というのは…?」


「陰陽師というのは、祈祷やまじないで世を動かす職のことです。宵の国は今、陰陽師の派閥争いが起こっている乱世なのですよ。」


嘘を言っているようには到底思えない。

燃え盛る城や、目の前に広がる大自然、そして何より青年の服装や行動が証拠だ。

ここは、私の知る世界じゃない。

その時、私の脳裏に数分前の記憶がよぎった。


「…まさかあの時、ブラックホールに包まれて“トリップ”したの…?」


「“とりっぷ”?」


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