戦乱恋譚
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「うー…明日は絶対筋肉痛だよー…」
午後七時。入浴を終えた私は、部屋で足をひたすらマッサージしていた。…大学を卒業してから、一日五時間以上も外を歩き回るなんて、初めてだ。診療所で立ちっぱなしの仕事をしていたとはいえ、足の疲労は比べ物にならない。
…トントン
その時。ふと、部屋の襖を叩く音がした。
「華さん。夕飯が出来ましたよ。」
その声は伊織だ。はい、と返事をして襖を開けると、にこり、と笑った彼の隣に、わくわくした様子の千鶴がいた。
『早く行こうぜ、姫さん!今日は宴だ!』
「宴?」
『“花一匁顕現”の祝賀会だよっ!さ、飲むぞ飲むぞ!』
(…何かにつけてお酒を飲んで楽しみたいだけなんじゃ…)
上機嫌な千鶴に目を細めた私は、苦笑した伊織とともに盛り上がる宴会場へと向かったのだった。
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「おっ、華さま!ここが空いておるぞ!」
「伊織様もどうぞ。」
茶の間に入ると、長いテーブルに着いていた銀次さんと咲夜さんが声をかけて来た。彼らの周りには、虎太くんと花一匁もいる。
盃を手にする虎太くんに目を見開いていると、すたすたと歩いて行った千鶴が、ひょい、と彼の盃を取った。
『わ!何するんですか千鶴さま!』
『お前はまだ飲めねぇだろ?』
『返してくださいー!ぼくだって、もう百年以上生きてますっ!』
『体はガキだから、だーめ。これは俺が飲む。』