極上CEOの真剣求愛~社長の言いなりにはなりません~
私は心の中で『まったく』と思いながら、ネクタイを締める神楽さんを、気付かれないように窺い見た。
今週まともに家に帰ってない、と言うのは、仕事ではなく野暮用に違いない。
多分……絶対。


日本の金融界で大注目を浴びる新鋭企業を興した、『若きセレブCEO』という社会的肩書のみならず、神楽さんはあらゆる意味で人の興味関心を引く人だ。


猫っ毛なのか、ちょっとふわっとした焦げ茶色の髪。
前髪の向こうに覗く、黒目がちで切れ長の目。
眉はすっと一筆で書いたように整っていて、とても男らしい。
とにかく力強い目元が印象的な、端整な顔立ちのイケメンだ。


身長は百八十センチ越えで、すっきりスレンダーな体型。
でも、いつどこで鍛えてるの?と疑問を挟みたくなるほど、引き締まった身体つきなのを、私は見知っている。


起業家でCEO……そこから漂うアグレッシブな印象通り、彼の経営戦略は強気で強引。
けれど、育ちの良さが滲み出る上品で優雅な物腰のおかげで、クライアントにはソフトな印象を与えるらしい。


そんな男が、女性にモテないわけがない。
仕事が激務で忙しいから、『特定の彼女がいても、かまってやる時間がない』そうだけど、ちょいちょい摘まみ食いするだけの女には困らない。
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