Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
 水をゴクゴクと飲み干す。
 飲み終わったグラスをソファーテーブルに置くときに、雨宮が見ていたパソコンの画面が、千紗子の目に飛び込んできた。

 「それ…私のデザイン案…」

 「ああ、せっかく千紗子のマンションから持って来たからね、明日が来る前に目を通しておこうと思って。」

 自分のごたごたに彼を巻き込んでしまったのは、この原案のUSBが発端だったと、千紗子は居た堪れない気持ちになる。

 「すみません…」

 「どうして謝る?」

 「私が昨日これを仕事に持って行くのを忘れなければ、こんな面倒に雨宮さんを巻き込まずに済んだのに…」

 素直に胸の内を吐露した千紗子に、雨宮は「ああ」と相槌をうつ。

 「USB、忘れてくれて、俺としては幸運だったな。」
  
 「幸運…?」

 雨宮の発言が意味不明で千紗子には理解できない。

 「ああ、そうだよ。あの時USBを取りに行かなかったら、千紗子は一人っきりであの場面に遭遇していただろう。そのことを考えると、ゾッとするな。俺が一緒に居れて良かった。俺の預かり知らないところで千紗子が泣くなんて、俺には耐えられない。」

 斜め上から、真剣な瞳が千紗子を見下ろす。
 そんなことを言われるとは思わなかった千紗子は、目を丸くした。
 じわじわと体が熱くなってきて、頬に朱が走る。

 「だから俺の見てないところで泣くな、千紗子。」

 揺らぎない瞳で千紗子を見つめながら、雨宮の右手がそっと千紗子の頬を包む。
 雨宮はその親指で、千紗子の目じりを拭うように撫でた。
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