Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
 「いいのか?」

 「え?」

 「本当に?俺の弁当を作ってくれるのか?」

 「は、はい…私の分を作るついでで良ければ…」

 そう千紗子が口にした途端、雨宮の雰囲気がぱ~っと明るくなった。キラキラと輝く笑顔が眩しすぎる。

 「嬉しいよ。楽しみにしてるな、千紗子。」

 「えっと、大したものでないんですが、それでもいいですか?」

 「もちろんだ。千紗子の手作り弁当が食べられるなら、明日は一日どんな嫌な仕事でもこなせそうだな。」

 雨宮の大げさな言い方に、千紗子は明日の弁当作りに内心気合を入れた。


 そのあと夕飯を食べながら、千紗子は雨宮の食の好みを聞いてみることにした。
 三日間だけとはいえ、三食準備するに当たって、アレルギーや好き嫌いは把握しておきたい。
 
 千紗子の質問に、雨宮はアレルギーも好き嫌いもない、と答えた。
 雨宮が『食に頓着しない』というのは本当のようで、『嫌い』もない代わりに特別『好き』もないらしい。
 けれど、千紗子の作ったものを嬉しそうに食べている姿から、食べること自体が嫌いなわけではないのだと、千紗子は感じていた。

 (雨宮さんは単に、『食事に手間をかける煩わしさ』が嫌なのかもしれないわね。)

 そう推測すると、千紗子は自分が彼の家にいる間だけでも、その『煩わしさ』から彼を助けたい、と思うのだった。
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