Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
ベッドの端に腰かけると、千紗子はどっと疲れを感じた。
雨宮が帰ってくる前に転寝をしてしまったのも、今日一日でとてつもなく疲れたからだ。
心が弱っているせいか、どんなに休んでも体から倦怠感が抜けきらない。
(でも、夕飯の後片付けを雨宮さんが手伝ってくれたから、すごく楽だったわ。)
ついさっきまで雨宮とキッチンに並んで片付けをしたことを思い返す。
背の高い彼は、千紗子が伸びあがって食器を用意した時とは違って、スイスイと楽に食器を仕舞っていた。
(そういえば、裕也があんなふうにキッチンで手伝ってくれたのって、いつが最後だったかしら…)
元恋人との同棲生活を振り返る。
(最初の頃は、裕也も家事を手伝ってくれてた時もあったのに…)
もうずっとキッチンで二人で立って何かをした記憶がない、そのことに千紗子の気持ちが沈む。
(料理だけじゃなくて、掃除も洗濯も、ここ最近はほとんど私がやっていたわね…。)
こんなことになるまで、そんなことに思い到ることもなかった。仕事で疲れた裕也を少しでも休ませてあげたくて、千紗子が進んでやっていたことだ。
たとえそれに感謝の言葉を貰えなかったとても、千紗子は裕也が言葉にしないだけなのだ、と思っていた。
(そう、思うようにしていたのかもね…でも私だって、同じように裕也への気持ちを言葉にしなかったわ。)
つい裕也との関係を終わらせることになった原因を探ろうとしてしまう。
自分の何がダメだったのか、いったいいつから彼の気持ちが離れていったのか、今更それを考えても仕方がないのかもしれないが、千紗子は考えるのをやめられなかった。