Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
カーテンの隙間から朝陽が細く差し込む。
重い頭を何とか持ち上げて、千紗子はベッドから降りることにした。
何か温かい飲み物を飲んで気持ちを浮上させたい。そう思った千紗子は、キッチンに行ってやかんを火に掛けた。
寝不足のせいか、空腹が感じられず食欲も湧かない。
雨宮のところに居た時は食事を取ることが出来るようになっていたのに、ここ数日の千紗子は何か食べようという気持ちが起きず、最低限のエネルギーを補充する為だけの食料を口にするだけだった。
そんな義務のような食事を美味しいと感じるわけはない。
沸いたやかんを火から下して、千紗子はマグカップに入れたティバッグの上からお湯を掛けた。
即席の紅茶にたっぷりのハチミツを入れる。冷蔵庫にあった牛乳を垂らすと、ちょうど空になった。
ふぅっと息を吹きかけて、熱い紅茶を少しずつ口に含む。
茶葉の香りとハチミツの甘さが、千紗子の体を温めた。
(あったかい……。でも雨宮さんが淹れてくれたミルクティの方が美味しかったな……。)
ショッピングモールで裕也と鉢合わせてしまった後、気を失って熱を出した千紗子に雨宮が淹れてくれたミルクティ。
その温かさと甘さに千紗子の傷付いた心は少しだけ癒されたのだ。