Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
早番の勤務を終わらせた千紗子が、図書館を出たのは六時前だった。
辺りはすっかり暗く、北風が吹いている。街灯だけが道を照らす河沿いの歩道を、千紗子は家路を急いだ。
冷たい風がいつもよりも湿気を含んでいるのを感じて、もしかしたら雨が降り出すのかもしれない、と感じる。
街灯の明かりにうっすらと浮かぶ川面が、吸い込まれそうなほど真っ黒に見えた。
睡眠不足と不摂生な食事、そして昨日の出来事。
それらが千紗子の気力と体力を削り、細い糸が切れる一歩手前の状態まで彼女を追い込んでいたのだった。
様子のおかしい千紗子に、「タクシーで帰るように」と言ってくれた美香の言葉すら、今の千紗子の頭の上をすり抜けていくほどに。