Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
「ここは……」
一彰が車を駐めたのは、前に二人で来た、あのショッピングモールだった。
「ここは嫌か?もしちぃが嫌なら他に行ってもいいぞ?」
車から降りると、心配そうにそう尋ねた一彰に、千紗子は慌てて首を振る。
「そんなこと、ありません。大丈夫です。」
前にこのショッピングモールに来た時には、悲しみや混乱のど真ん中にいた上に、ここで更なる追い打ちをかけられたことはまだ記憶に新しい。けれど、それは少し前の出来事のはずなのに、もう随分と昔のことのような気がする。
千紗子の中にこの場所に対しての複雑な気持ちはあるけれど、だからと言って『行きたくない』と言うほどの強い嫌悪感はもう湧いて来ない。
「―――そうか。じゃあ、行こう。」
一彰は千紗子の手をそっと握ると、店の方へと歩き出した。