Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
二人はまずレストランの集まっているフロアに行き、案内板を見ながら飲茶が美味しそうな中華レストランに入ることにした。店内は落ち着いた雰囲気で、平日のランチメニューは、点心以外にも契約農家の野菜や漁港直送の魚の新鮮な素材が味わえるようなメニューがセットになっているものだった。
熱々の小龍包や蒸し餃子を食べてすっかりお腹が満たされた二人は、今度は店内を見て回ることにした。
「ごちそうさまでした、一彰さん。」
隣に並んで歩く一彰を見上げて、千紗子は食事のお礼を伝える。
店を出る時、千紗子は財布を出す隙をわずかも与えてもらえなかった。
席を立つ時、千紗子が鞄を持ったりしているうちに一彰は会計に行き、店員にサッとカードを渡して全てを支払ってしまっていた。自分の食べた分は自分で支払うと言う千紗子に、一彰は「代わりにまた手料理を作って。」と言って、その手を取って有無を言わさず歩き出してしまったのだ。
「ちぃは何か見たいものとか欲しいものある?」
「そうですね…自分の部屋で使う食器類を見たいな、と思います。」
「そうか。じゃあ、食器や雑貨のあるフロアに行こう。」
「はい。」
それから二人は、時間を忘れて買い物を楽しんだ。
千紗子のマンションの部屋で使う食器類を選んで、その他にもリネンカバー類やクッションやキッチン雑貨などをあれこれと見て回る。
一彰は自分では料理をしないが、調理器具や食器を見るのは好きなようで、千紗子の買い物に嫌な顔をするどころか、彼の方が興味津々で楽しそうに商品を見て回っていた。
二人の両手いっぱいに荷物が溜まった頃、このショッピングモールの思い出もすっかり楽しいものに変わっていた。