Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
「ちぃ……。ちぃは俺と一緒にいるのは嫌?君が疲れてるなら今日はもう送っていくけれど。」
一彰の口から出た言葉に、千紗子は目を見開いた。
唐突に、彼がどうしてそんなことを言い出したのか分からない。しかもその表情は、明らかに不機嫌そうだ。
「い、嫌ではありません…。でも…」
「でも?」
正直、千紗子はそろそろ自分の部屋に帰らなければいけない、と思っていた。
あの雨の夜。熱を出してここに連れて来られてから、実はほぼ自分のマンションには帰宅してない。
昨日仕事に行く前に、仕事に行く服に着替える為に一旦帰ったけれど、それは『立ち寄った』レベルだ。一彰の車での職場に向かう途中だった為、とりあえず着替えと必要な物を持っただけの短時間だった為空気の入れ替えも何も出来なかった。
何より、一彰にお世話になってばかりなのが、千紗子にとっては一番の気がかりなのだ。
(なんて言ったらいいのかしら…。)
下を向いて寄せて考え込んでいる千紗子の頭に、大きな手がポンと乗せられた。
「千紗子。」
温もりと共に柔らかな声が頭上に降る。
千紗子はゆっくりと顔を上げた。