Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
イルミネーションで彩られた街を、千紗子は一彰の隣に並んで歩いていく。
周りには、二人と同じようにクリスマスイブの夜を楽しむ恋人同士や家族の姿があった。みな幸せそうに笑っている。
千紗子は隣の一彰を見上げた。
「ん?寒い?」
一彰は千紗子の腰に手を当てると、そっと自分の方に抱き寄せる。
確かに今夜はとても冷える。けれどそんなつもりはまったく無かった千紗子は、黒目がちな瞳ををくるりと丸くした。
顔を赤らめて見上げてくる千紗子に、一彰がふっと笑い、目を細める。
「こうしてたら温かいだろ?寒いだろうけど、もう少しで着くからな。」
嬉しそうにニコニコとした顔で言われると、「違う」と言い出せなくなる。
(もう少しで着くって、どこに行くのかしら?)
実は千紗子はどこに向かっているのか知らない。ただ、今夜は外で食事をすることだけは聞いていた。