Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
「いらっしゃいませ。」
カランカランと頭上で鳴るドアベルの音に、奥から聞こえる女性の声が被さる。
「一彰君、久しぶりね。」
廊下の向こうから顔を出した女性はこちらを見るなり、微笑んでそう言った。
一彰よりも少し年上のその人は、真っ白なシャツに黒いパンツを履いてシンプルな黒いカフェエプロンを巻いていて、すぐにこの店の方なのだと分かる。
「恵実(めぐみ)さん、ご無沙汰しています。今日は無理言ってしまってすみません。」
「うふふ、一彰君の頼みを断ることなんて私たちがするわけないでしょ?柾(まさき)も楽しみにしてるのよ。久々に顔を出したあなたが、今日という日に誰と一緒に来るのか。」
その人はいたずらな顔で微笑んだ後、千紗子に顔を向けた。
「un sourireへようこそ。あなたが一彰君の『大事な人』ね。」
「えっ!?」
「電話してきた一彰君が『大事な人を連れて行くから』って言っていたから。」
千紗子は思わず隣に立つ一彰を振り仰ぐと、すぐに目が合い、にこりと微笑まれて、なぜだか千紗子の方が顔を赤くしてしまう。