Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

 そう言って奥の部屋からゆっくりとこちらにやって来たのは、白いコックコートの下に黒いギャルソンエプロンを着けた、背の高い男性だった。

 「よ、一彰。久しぶりだな。」

 「柾兄さん…久しぶり。」

 一彰との遣り取りから、この店のオーナーシェフで、恵実の夫であると気付いた千紗子は、慌てて立ち上がり頭を下げた。

 「はじめまして。木ノ下千紗子です。」

 「ああ、いらっしゃい。俺は柾。ここの店主だ。」

 目の前に立つ柾は、口元に弧を描く。

 三十代半ばくらいに見える彼は、百七十センチ後半はあると思われる高身長で、何かスポーツをやっていたと思われるほど肩がガッチリとしている。きちんと整えられたひげが、彼のワイルドな風貌を強調している。

 「それにしても一彰。久々に顔を出したと思ったら、イブに女性を連れてとは。」

 「柾兄さん、今回は無理を言ってしまってごめん。本当は休みだったんだろ?」

 「いや、まあ、な。一彰の頼みなら聞かないわけにはいかないだろ?」

 「そうよ。うちのことなら大丈夫。実咲(みさき)が自分たちでクリスマスパーティの準備をするって、張り切ってるから。」

 一彰と柾の会話に、後からやってきた恵実が加わる。

 「めぐの言う通りだ。俺たちのことは気にするな。」

 「ありがとう、恵実さん、柾兄さん。それと実咲ちゃんたちにも礼を言っておいて。」

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