Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

 柾と恵実が奥の厨房に戻って行った後、窓の方に向かって丸いテーブルにハの字型に並んで座りながら、シャンパンで乾杯をする。

 グラスの中のプラチナ色の液体を口に含むと、舌の上を弾ける感触の後に、フルーティで華やかな香りが鼻から抜ける。

 「美味しい。」
 「美味いな。」

 またしても同時に発した言葉に、二人で目を合わせてクスっと笑い合った。

 「ちぃは割と飲める方だよな。」

 「そうですね…ふふっ、美香さんに鍛えられましたから。」

 「河崎か…。」

 微苦笑を浮かべる一彰に、千紗子はもう一度「ふふふっ」と笑った。

 「前に一緒に飲んだ時も、二人とも結構飲んでたよな。あの時は本当に楽しかった。」

 「そうですね…私も『雨宮さん』と初めて一緒に飲めて楽しかったですよ。」

 「『雨宮さん』か……」

 楽しげに千紗子が放った台詞に対して返って来たのは、少し寂しげな呟き。

 「…一彰さん?」

 「いや、俺の片思いが実るとは、あの時は思っても見なかったな、と。」

 庭のツリーに視線を遣って、そう呟いた彼の瞳が切なげに光っていて、千紗子の胸がきゅっと締め付けられた。
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