Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
『取り分け式』と最初に断られたけれど、そこはやはりフレンチのレストランらしく、スープと前菜は小ぶりな皿に少しずつ盛り付けて、それぞれの目の前に置かれた。
アボカドとエビのカクテル、サーモンのテリーヌ、生ハムの香草サラダ
どれも数口で食べ切れそうな量なのに、美しく完成された盛り付けに、千紗子の目は奪われる。
(食べるのがもったいないわ……)
そんなことを考えながら、目の前の皿を見つめていた。
「どうした?食べられないものでも入っていたか?」
「い、いえ。そんなことはありませんよ。ただあまりにも綺麗で、食べてしまうのがもったいなくて、目に焼き付けていたんです。」
顔を上げて千紗子がそう言うと、一彰は楽しげに、くくっと笑いを漏らす。
「目に焼き付けるのもいいけど、せっかくだから味わって、な。」
「は、はい。」
そう促されて、料理を崩さないように慎重にフォークに乗せると、ぱくりと口に入れた。
「お、おいしっ!」
千紗子が思わず感嘆の声を上げると、隣からまた、くくくっと笑う声が聞こえた。