Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
「それは何よりだ。ところで、ちぃ?」
一彰が垂れ気味の目を下げて、唇の端を上げる。
「敬語、一回目、な。」
「あっ!!」
すっかり料理に気を取られていた千紗子は、ついさっき始まったばかりのミッションのことは、すっかり頭から飛んでしまっていた。
「あと二回だからな。」
「わ、…分かったわ。」
つっかえながら言葉を返すと、一彰は満足げに頷いた。
行儀が悪いと知りつつも、千紗子は料理を食べながら、改めて部屋の中を見渡してしまう。
部屋自体はそんなに広くないが、天井が高いせいか、圧迫感は感じない。大きめの長方形のテーブルが中央に一つと、窓際に小さめの丸いテーブルが二つあるだけで、あとは薪ストーブとピアノだけ。けれどその広すぎない空間が、かえって本当の隠れ家みたいで落ち着ける。
「ちぃはこの店が気に入った?」
忙しなく目線を移動する千紗子に、一彰が尋ねた。
「すごく…すごく素敵。ここにずっといたいくらい好きかもしれないわ…」
素直な感想を口にすると、斜め横に座る一彰が満足げに微笑む。