Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
「ここ…、わたし……」
柔らかなベッドから上体を起こす。ズキリと頭が痛んで、思わずこめかみを押さえた。
半分降ろされたブラインドの下から、茜色の光が差し込んでいる。
自分のマンションの部屋ではないことは、寝起きの千紗子にもすぐに分かる。そしてそこがまったく知らない部屋ではないことも。
(また、雨宮さんに迷惑を掛けてしまったんだわ…)
部屋の主はここには居ない。千紗子はゆっくりとベッドから降りると、寝室のドアを開けてリビングの方へと静かに向かった。
ドアを開けると、思った通りの人がそこにいた。
「もう起きて平気なのか、千紗子。」
ダイニングテーブルに置いたノートパソコンから顔を上げた雨宮は、そう言うと立ち上がり千紗子の前へやってきた。
千紗子の前髪を持ち上げるように額に手を当てる。
「ああ、熱は下がったな。」
ホッとした声で呟く雨宮に、千紗子は自然と眉を下げた。
「体は辛くないか?あれから何も口にしてないから腹も減っただろう。とりあえず温かい飲み物をもってくるから、千紗子はソファーに座ってて。」
バリトンの声に促されるまま、千紗子はすぐ側のソファーに腰を下ろした。