Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
 「でも、雨宮さんはこれだけじゃ足りないのではないですか?私と違って元気なのだし、男性なのでもっとしっかりと食べたほうが良いと思うのですが…」

 テーブルの向かいも、千紗子と同じ雑炊の入った器がある。千紗子と違ってもう中身はほとんど入っていないが。

 「ああ、俺か。俺なら大丈夫だ。」

 「大丈夫、ですか?」

 「夜はほとんど食べないからな。いつも軽く済ませるか、仕事が遅い時は食べずに寝ることもあるし。」

 「えっ!」

 「正直、食べることにはあまり頓着しないタイプでね。自分ではちゃんと作れないし作ることも面倒だ。もっと言うと仕事の後にコンビニやスーパーに寄るくらいなら早く帰って休みたい、と思ってしまうんだ。」

 「そ、そんな…」

 雨宮の意外な告白に千紗子はびっくりした。
 センスが良くて綺麗な部屋に住む雨宮は料理もそつなくこなすだろうと、千紗子は勝手にイメージしていたのだ。

 「掃除や整理整頓、洗濯は苦にならないんだけどな、自分が食べることに興味があまりないと、どうしてもその辺がずぼらになってしまうんだ。…幻滅したか?」

 情けなさそうに眉を下げた雨宮に、そう問われて、千紗子は頭をぶんぶんと左右に振った。

 「幻滅、とかはしません。でも正直びっくりはしています。雨宮さんはなんでも出来そうなイメージがあったので……」

 「ははっ、何でも出来るなら、俺も苦労はしないさ。」
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