Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
 「の、飲み物しか入ってない……!!」

 雨宮の冷蔵庫は、見事なまでに飲み物しか入っていなかった。

 ペットボトルのミネラルウォーターや炭酸水、ビールの缶にワインの瓶。

 大体どの家庭の冷蔵庫にも入っているはずの、マヨネーズやケチャップすら見当たらない。固形物で唯一見当たるのがバターくらいだ。

 ためしに野菜室や冷凍庫をあけてみるけれど、ほとんど空に近い。冷凍庫はロックアイスの袋が二袋もあるけど、他は何もなく、野菜室に至ってはワインクーラーみたいな扱いになっていた。

 「こ、これって……」

 どうしたらこんな冷蔵庫になれるのか、千紗子には不思議でたまらない。

 「何もないだろう?」
 
 冷蔵庫を前に目を白黒させている千紗子の後ろから、声がかかった。

 「雨宮さん…」

 首だけで振り向くと、キッチンの入口に雨宮が立っている。

 「基本的にキッチンではお湯を沸かすか、レンジを使うくらいしかしないからな。」

 そういう彼の顔は飄々としている。
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