24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

「弊社との取引がなくなれば、立花さんにもマイナスではありませんか? 両社にとっていい方向に進めていくべきだと思います」
「そうですね。飯島さんの仰る通り」

 立花が同意を示すと、拓也は一瞬だけ瞳に明るさを取り戻した。


「ですが、先ほど申し上げました通り、取引条件は、あなたが御社にいないことであり、あなたが勤務されている間は一切お話を受けるつもりはございません」
「どうしてそこまで……!!」

 立花が突きつけた条件と、雪のように凍てついた声色に、とうとう拓也も怯みはじめた。


「ご自分のなさったことを考えていただければ、わかることではありませんか? それとも、私が申し上げなくてはならないほど、飯島さんは無責任な方なのでしょうか? そうであれば、一層取引などはできかねますね」
「雪花の取り扱いが店舗限定になって困るのは、そちらじゃないんですか?」

 少々声を荒らげる拓也にも、立花はまったく動じない。
 冷え切った表情を微塵も変えず、時折焙じ茶を啜るだけだ。

(本当に、かわいそうな男だな。失ったものはこの契約だけではないのに、この期に及んでまだ気づかないのか)

< 136 / 146 >

この作品をシェア

pagetop