24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
和室の掘り炬燵を囲む。
立花の襦袢を汚してはいけないので着替えようとしたが、そのままでいいと言われて紐を軽く結ばれてしまった。
「また腕を上げましたね」
「それは光栄だなぁ」
伊鈴も立花の自宅に来るたびに手料理を振る舞っているが、彼もまた料理上手だ。
率先してキッチンに立つ彼は、とにかく伊鈴が美味しそうに食べる姿を見るのが好きで、楽しみにしている。
「あっつ……。汗ばんできた」
「そうですね」
一緒に鍋をつついていると、長袖の黒シャツとデニムに着替えた彼がボタンを2つ開け、両袖を無造作に捲ってから、傍らにあった扇子でそよそよと扇ぎだした。
「伊鈴も飲むか?」
「はい」
あまりアルコールは強くなかったが、最近では彼に教えられて日本酒を嗜むようになった。
揃いの猪口に注がれた日本酒にちびちびと口をつけ、伊鈴は箸を進める。
「そういえば、今週面白いことがあったんだ。エアロフーズっていうところとずっと取引があったんだけどね、担当が変わるって挨拶に来て」
なにげなく話を切り出した立花は、拓也の名刺をテーブルに置いた。