24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
「お召し上がりになられた商品に、不都合がございましたか?」
「いいえ、とても美味しくて……。こんなに美味しいあんこを、今日食べられてよかったです」
「そのようなお言葉をいただけて光栄です」
(ん? ただの和菓子好きか?)
しかし、感動するほど美味しくて泣いているようには見えず、立花は彼女を見つめる。
失恋で心が痛むはずの伊鈴も、目の前の立花を初めてまじまじと観察するように見つめ返した。
(……絶世の美男子って、こういう人のことなのかも)
黒髪は自然な横分けで、ナチュラルに流れる前髪や耳にかかる程度の長さに清潔感がある。
暖簾と似た抹茶色の羽織と絹鼠色の着物姿は凛とした魅力を放ち、心配するようなまなざしを向ける瞳は涼やかながらも、穏やかさに満ちていた。
座っていても分かる高身長には小さな顔が乗っていて、その顔立ちはすっきりとした鼻梁に、少し薄目の唇と上品だ。きゅっと上がった口角が立花の表情に明るさを足している。
そして、耳馴染みのいい低くてやわらかな声色は、人当たりの良さを感じさせた。