24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
「ここでお話するわけにはいきませんか?」
「あいにく、店じまいのお時間なので」
「そうですよね……」
(どうしよう、どうしよう!)
泣いて迷惑をかけたからといって、立花と出かけるのは選び難い。
でも、それは伊鈴の都合だ。ここはひとつ、腹をくくって誠心誠意謝るほうがいいだろう。
「わ、分かりました……」
「よかった。お召し上がりになっていてください」
すぐに立花は席を立ち、店員と閉店作業に取り掛かる。
席でおはぎの残りとカステラを食べる伊鈴は、暖簾を店内に入れ、丁寧に畳む彼の後ろ姿を眺めた。
総檜の店内は、明かりがわずかに落とされた。イートインスペースの窓にもロールカーテンが自動で下りていく。
そして、優雅な音量で流れていたジャズが止まり、店員たちが無言で閉店作業をする中、伊鈴は今日を振り返った。