24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
「私、子供の頃から生クリームよりあんこ派なんです。パンよりおにぎりが好きな子供で。ちょっとしたご褒美のつもりで、今日はお邪魔したんですけど」
「そうでしたか」
(褒美でうちに来たのに、悲しそうに泣くなんて……。もしかしたら、理由はあまり深く聞かない方がいいのかもしれないなぁ)
立花は、つまみの新生姜をかじりながら、出会ったばかりの客の素性に考えを巡らせる。
自分が心配したところで、彼女が置かれた状況を変えられるわけではないだろうに、せめていい一日で終わらせてあげたいと思うのだった。
「た、立花さんは当然あんこ派ですよね?」
しかし、伊鈴はその〝ご褒美〟が自分の誕生日だとはとても言えないと、急いで話題を変える。
「あなたほど筋金入りではありませんよ。わが家の食卓にはパンが並んでいました」
(意外だなぁ。代々続く老舗の跡継ぎだから、生まれながらにそういう環境だと思ってたんだけどなぁ。……偏見だったのかもしれないけど)