24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

「不躾なことを聞いてしまって、すみませんでした」

 伊鈴が謝ると、立花は凛とした表情を崩すことなく口角を上げた。
 それはとても色っぽい微笑みで、不意を突かれた伊鈴はわずかに頬を熱くした。


「おはぎを食べながら号泣するお客様は、後にも先にも、きっとあなたくらいだと思いますよ。……ですので、いつもはひとりでふらりと、こちらを使わせてもらっています」
「本当にいろいろとお気遣いくださって、ありがとうございます」

 そもそも、自宅で大人しく過ごせばよかったのだ。
 ヤケ酒だろうと、やけ食いだろうと、思い出に浸って泣き崩れようと自由なのだから。
 
(もしかしたら、今日だって立花さんはひとりでゆっくりするつもりだったのかもしれないな……)

 伊鈴は申し訳なくなって口を噤み、静かに雨に濡れる街並みに視線を流した。


 今頃、拓也と由紀はなにをしているのだろう。
 誕生日を祝って、いつもよりも豪勢なディナーを楽しみ、こんなふうにどこかのホテルのバーで身を寄せ合っているのかもしれない。

 本当だったら、私が……。

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