24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
だけど、悲しみに浸って過ごすのも自分らしく思える。どちらがいいのかなんてわからないけれど、きっと両方とも涙からは逃れられないだろう。
(また泣いてるのか……。夜景を見て感傷的になっているだけ?)
伊鈴がまた泣き始めていると気づいた立花は、聞いていいものか悩みつつ、彼女を案じた。
「十河さん、どうしました?」
「ごめんなさい。ちょっとむせそうになって」
言えない。本当のことを話すわけにいかない。
(これ以上、気を使わせたくないもの)
そう思うのに、伊鈴の瞳には次々に涙があふれてくる。
指で忙しなく拭いながらも、泣きやもうと無理に笑ってみせた。
「そろそろ、話してくれませんか?」
立花はそっと手を伸ばし、伊鈴の頬を転がる琥珀糖のような涙を、丁寧に指の背で拭う。