24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
もう決壊寸前だと、伊鈴は気づいた。
昼間に失恋して、それから拓也を振って、誕生日の持て余した時間を潰して……。
立花の店に行った時も、贅沢なお鮨をご馳走になった時も、ずっと悲しみがつきまとっていた。
少しは気が晴れたと感じていたのも、そう思わないとやっていられなかったからだ。
素直になって、失恋に向き合うのが怖くてたまらなかったから……。
(……無理。もう、耐えられない)
作っていた笑顔を消し、再び瞳に大量の涙を浮かべて、立花の優しさに甘えてみようと口を開く。
「立花さん。……私、今日……失恋したんです」
声が震える。
指先までひんやりとして、血の気が引いたのかと思うほどだ。
拭うことも忘れ、涙をぽろぽろとこぼしても、立花は動じずにひたすら拭ってくれる。
(失恋か……。予想外だったな)
立花は、伊鈴の涙の意味を聞かされ、どうしたら泣きやんでくれるのかと一考した。