24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
もし、由紀が私の立場だったら、どうしていたんだろう。こんなふうに初対面の男性とお酒を飲んだりしただろうか。
きっと違うだろうなと思いながら、些細なことも比べては、止まらぬ溜め息をついた。
「私にあって、あの子にないものじゃ、彼はきっと満足しなかったんですね……。あんなに一緒にいたのに、どうして全部なかったことにできるんでしょう? 気に食わないなら、そう言ってくれたほうが何倍もよかったのに」
伊鈴が零すと、立花は手元のロックグラスを僅かに揺らし、少しだけ含んだ。
そして、ブランデーで濡れた唇を、舌先でそっと舐める。
「終わった恋を思うのは自由だけど、それでなにか変わるの?」
しがみつきたくはない。自分からケリをつけたのだから。「別れたくない、なんでもするから」なんて、縋る言葉も当然浮かばなかった。
それなのに、こんなに苦しい。悲しくて、つらくて、どうしようもない。
思い出すつもりがなくても、勝手に2年間の楽しかったことばかりが切り取られて、涙を誘う。