24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

「もう少ししたら、帰りますね」
「そう、わかった」

 今度は引き留めることなく、立花は伊鈴の気持ちを尊重した。
 酔って歩けなくなっていたから、部屋を取ったまでで、さすがにどうにかしようという気はない。


「でも、まだちょっとフラフラなので、落ち着いたらにします」
「そうしたらいいよ。気が済むまでいていいから」
「立花さんは、泊まっていくんですか?」
「そのつもりだよ」

 立花の自宅は南麻布にあり、タクシーで帰れる距離ではある。しかし、いつも通り銀座まで車通勤していたので、明朝行き来するのが面倒に感じ、宿泊を決めていた。


「気持ちの方は、どう?」
「多分……大丈夫だと思います」

 きっとまだ、自宅に帰れば泣いてしまうだろう。
 帰りの道中でも、思い出に触れれば簡単に涙腺は緩むと思う。

 でも、これ以上立花に迷惑はかけられないと、伊鈴は少し強がって答えた。

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