24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
それから、特に会話もなく30分ほどが過ぎた。
伊鈴は変わらずベッドで横になって身体を休めている。
「シャワー、浴びてきてもいい?」
「は、はい……どうぞ」
唐突に沈黙を破った立花に、ドキッとさせられた。
(ずっと着物でいるのも窮屈だろうし、泊まっていくんだから普通のこと)
ベッドルームを出ていく立花の背中を眺めながら、伊鈴は自分に言い聞かせる。
拓也以外の男性とホテルに来たことがないので、妙に意識してしまうのは仕方ない。
浴室のドアが閉まった音がして、伊鈴は胸を上下させて呼吸した。
(私なんかに、特別な興味を持ってくれるはずもないし……)
初めて会ったのに、泣いていたからと気を使ってくれて、失恋の愚痴まで聞いてくれたのはとてもありがたい。
だけど、思い出せば思い出すほど、恥ずかしくなるばかりだ。
「なにやってんのよ、私……」
こんなんだから振られたのだ。由紀だったら、きっとこんなことにはならないだろう。