24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
「ゆっくり休んで」
立花は、寝付いてしまった伊鈴に声をかけて、ベッドを離れようとした。
「……誕生日なんて、大っ嫌い」
ぽつりと呟いた伊鈴の声に、立花が振り返る。
彼女の目尻から、大粒の涙が伝っていく。
それは、温かな橙色のベッドライトに照らされて、オレンジ色の金平糖のように見えた。
(誕生日だったのか。それで、うちの店に?)
立花は、伊鈴が無類の和菓子好きで、褒美で店に来たと話していたのを思い出した。
涙の訳は分かったけれど、褒美でおはぎとカステラを食べに来た理由は聞けずじまいだったので、ようやく点と点が線になって、腑に落ちた。
そして、切なさが移ったように、胸の奥が苦しくなった。
(誕生日に振られたなんて……)
気づけばベッドに片膝を乗せて、伊鈴を見下ろしていた。