24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

「早くシャワーを浴びておいで、パンダさん」

(ぱ、パンダ? ……あっ!!)

 化粧をしたままだと言うことをすっかり忘れていた伊鈴は、勢いよく身体を起こしてベッドルームを出て、洗面室に駆けこんだ。


「うわぁ、ボロボロ……」

 よくもまぁ、こんな顔で朝から話していたものだ。
 立花がパンダと言ったのも納得で、目の周りはアイシャドウやらマスカラやら、いろいろが涙と混じっている。
 描き足した眉毛も薄くなり、肌は皮脂でテカテカ、髪の毛はボサボサだ。

(こんな女に魅力は感じられなくて当然ですよね……)

 昨夜、立花となにもなかったのも当たり前だと、肩を落とす。
 なにもなくてよかったのだけれど、こんな姿を見せてしまったら、女として終わっているような気がした。


「そりゃあ、振られるよ」

 そして、拓也に裏切られたのもこういうガサツなところがあったからだろうなと、顔を洗いながら納得せざるを得なかった。

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