24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
そのままシャワーを浴び、伊鈴もバスローブを着てリビングに戻る。
立花は既に着物に着替え終えていて、コーヒーを飲みながらソファに座っていた。
「お見苦しいものをお見せしました」
「あぁ、メイクのこと? いいですよ、気にしなくて。俺も忘れますから」
(忘れてくれるなんて、本当に立花さんって心遣いができる人だなぁ)
朝にぴったりな爽やかな微笑みは、すっぴんの伊鈴に眩しい。彼は、ソファの傍らに立って頭を下げた伊鈴に、隣に座るようにと促した。
カーテンが開けられていて、空模様が見える。
今朝も、あいにくの雨降り。しとしとと秋雨が窓を濡らしていて、少し肌寒そうだ。
壁掛けの時計を見れば、朝8時。かれこれ、立花と半日一緒にいることになる。
「何時に出ますか?」
「決めてないよ。チェックアウトは11時だから、それまでここにいてもいいし」
一緒に出るべきか、先にお暇するのがいいのか悩む。
もし先に出るなら、今のうちにこの部屋の料金を自分が払うべきだと、伊鈴は腹をくくった。