24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
「立花さん」
朝刊を読んでいる立花に話しかける。
「昨日は、長々と愚痴を聞いてくださって、挙句の果てにこんなに贅沢なお部屋を用意してくださったり、いろいろとありがとうございました」
「話を聞けてよかったよ。どうして泣いていたのかわからないままでは、俺も気になっていただろうし」
(あれ? そういえば、立花さんの口調がいつの間にか砕けてるな……)
昨夜は、ずっと丁寧に話していたはずなのにと、記憶を掘り起こすものの、どこから立花がフランクに話してくれるようになったのか覚えていない。
「どうしたの?」
「あ、それで……このお部屋の料金は、私がお支払するべきだと思いまして」
「あぁ、いいよ。それならもう払ってある」
「でも、それじゃ困ります。お鮨もお酒もすごく贅沢させてもらったのに」
「うーん、そう言われてもなぁ」
立花は新聞を畳んでテーブルに置き、伊鈴の顔をじっと見つめてくる。
「だったら、交換条件にしようか」
ニッと意地悪そうな微笑みを浮かべた立花の美しさに、伊鈴はぞくりとして身構える。