24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
創業150年。明治からこの地に根差してきた老舗は、地上3階建てビルの1階にある。
一昔前は平屋だったが、現在の五代目が店主になった際に建て直された。
上階はテナントではなく、あくまでも自社の事務所や贈答品の予約が増える時期の作業場として使われている。
店頭の雰囲気は変わらず気品にあふれ、建て直しの際に外壁が御影石になったもののいやらしさはない。抹茶色の暖簾と温もりある木の引き戸との調和が取れている。
歴史ある趣に圧倒され、恐る恐る顔を覗かせた伊鈴を、五代目店主である立花 煌はゆったりとした所作と丁寧なお辞儀で出迎えた。
「いらっしゃいませ」
(……すごく綺麗な人)
和菓子を食べるために来たはずが、ショーケースの商品よりも立花に目が奪われた。
初対面の男性に対して、〝格好いい〟だとか〝いい人そう〟と思ったことはあったけれど、〝綺麗〟と感じたのは初めてだった。
伊鈴は一瞬見惚れたのち、ハッとして引き戸を閉め、店内に入る。