24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
「まだお時間は大丈夫ですか?」
「もちろんでございます。金曜は20時までの営業ですので」
「よかった……。注文をいいですか?」
伊鈴がそう言うと、立花は和装の制服を着た女性店員と代わり、奥に入った。
季節柄、芋や栗を使った饅頭やどら焼きが中央に置かれ、定番の羊羹などの生菓子も揃っている。それらを見ているだけで、伊鈴の空腹は刺激された。
雑誌で見たのは、北海道産小豆のおはぎと“たちばな”と名前のついた極上カステラ。それらを食べずしてこの店は語れないと、ライターの興奮が伝わるような文章を思い出した。
「北海道産小豆のおはぎと極上カステラをひとつずついただけますか?」
「かしこまりました。お持ち帰りになられますか? あちらのお席でお抹茶と一緒にお召し上がりになることもできますが」
「あっ、そうなんですね。では、食べていきます」
イートインスペースがあるなんて意外だった。
それに、抹茶と一緒に食べられるならその方がいい。生クリームよりもあんこ派の伊鈴にとって、最高の誕生日スイーツだ。