24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

 ガレージで、立花は番傘に伊鈴を入れ、並びにある門扉を開いて、玄関までの階段を上る。
 真っ白で、曲線を描いたバルコニーが印象的な邸宅は、坂を挟んだ向かいの家よりも少し大きいようだ。


「足元、気を付けて」
「は、はい……」

(こんな豪邸に住んでるの!?)

 煉瓦タイルの階段を上りきり、玄関に張り出した屋根下で立花が番傘を畳む。
 インターホンの右側に設けられた黒い機械に手のひらをかざし、彼は玄関ドアを開けた。


「どうぞお上がりください」
「はい……お邪魔いたします……」

 玄関に入った伊鈴は、吹き抜けになった高い天井を見上げ、ぽかんと口を開けた。

 丁寧にスリッパを出され、ありがたく足を入れればふかふかで雲を歩いているよう。
 いつも自宅で使っている二足500円の安物とは違う。
 伊鈴は、洗練された立花邸に圧倒されてしまった。

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